「添牛内の回想②」真嶋雄一先生

添牛内小学校80周年・同窓会再発足15周年記念誌に寄稿さられた、故:真嶋雄一先生の「添牛内回想」「終戦の頃」をご紹介します。
画像



「終戦の頃」
旧職員(小25期生) 真嶋 雄一

 周囲の反対を押し切って母校の教壇に立ったのは、昭和20年4月でした。徴兵制度不合格となった私の若さで選んだ絶対のみちでした。
 最初の授業は高等科1年でした。其の頃は小学校のも勤労動員がありました。高等科2年の受持ちが病身だったので私が2学年引率でした。まず雪解け前は航空兵の甘味料と戦闘機の燃料で、イタヤの樹液や松葉採収でした。
 早朝、堅雪のゆるまぬうちに校庭に集合。遠く新富からの生徒もおりました。
 山側の道を辿り、大曲の観音様から望んだ西山の朝日に輝く雪の峰々は神々しいほど美しかった。明治天皇の御製等を皆で朗読し、また目的地にむかいました。
 仕事は造材現場で松葉を集めて束ね、かついで急な尾根を登り切りました。
 休み時間には、カボチャ澱粉飴の心遣いがあったり相撲をとったりもしました。
 夏休みにも牧草刈など援農の動員がありましたが、8月15日は天皇陛下の重大な玉音放送があると云うことでした。お盆休みを利用して宿泊軍事教練に集まっていた青年学校の方達と職員室前の窓下に整列して、正午からの放送を待っていました。
 その頃の学校では買ったばかりで一番大きな備品だったラジオがピーピーガーガーなかなか聞き取れないのです。しかし私はポツダム宣言の受託を知って、思わず号泣してしまいました。皆さんは愈々最後まで戦えと云う放送だというのです。
 国は敗れても最後までやるんだと、高橋憲隆先生と川に銃剣を研ぎに行ったりもしました。
 当時は雪などで学校のガラスが壊れても全く補修は出来ませんでした。そこで教室の廊下のガラスを持って行き、そのあとに板を打ち付けたり、掛図の紙で塞いだりしていました。
 ある日、授業中一人の米兵がそのような教室へ土足で入ってきました。
 そのうち何か喚きだしましたが、それは欄間に貼られて古い掛図に、日の丸が書かれていると云うのです。しかもそれは運動会の絵で、逆さまに貼られているものだったのです。その日校長先生はだいぶ絞れたのではないかと思います。
 其の頃も今も、アメリカの学校では教室毎に星条旗を掲げ、合衆国への忠誠を毎日誓わされると聞きます。
 極端から極端まで捻じ曲げられたものを、正しい姿勢に直すには随分時間がかかる様です。戦後の教育で郷土を理想郷に等と考えたりしましたが、最近、宇宙は人の数だけあって、それぞれの人がそれぞれの宇宙のなかに住んでいるのではないかと思える様になってきました。
 まさにキリストや釈迦の言葉の様に「神の国は、汝等の内にあり」。内なる「常楽の国土」の確立こそユートピアへの至近道です。愈々徽かに生命の最後の炎をかきたてていきたいと思っています。


(添牛内小学校80周年・同窓会再発足15周年記念誌「雨竜川」平成6年4月発刊 より)


故真嶋雄一先生は、終戦直前の昭和20年3月31日、添牛内小学校教諭として任命され、その後昭和27年4月1日から昭和39年4月1日の間、添牛内中学校教諭として、通算19年間勤務されました。
大勢の卒業生がお世話になりました。私もその一人です。
      添牛内小学校「教育目標」 ●じょうぶな子 ●よく考える子 ●心の豊かな子 ●よく働く子

この記事へのコメント

kuma
2013年02月12日 07:12
真嶋雄一先生は添牛内小・43期生の僕達夫婦が添牛内中1年生の担任でした真嶋先生には大変お世話になり思い出が沢山あります。当時を走馬灯のように頭の中を駆け巡ってまいります。奥様がお元気で添牛内小・中同窓会に出席されたとお聞きしております。
mie
2013年02月14日 15:31
真嶋先生・・・懐かしい 懐かしいお顔です
私は 確か 中学の時 英語?を習った気がします
分厚いメガネの奥に優しそうなまなざしが 印象に残っています 奥様がご健在とは嬉しいですね
添牛内・・私にとって 永遠です
isao
2013年02月14日 20:06
真嶋先生がオルガンを弾いている光景が、今でも目に浮かびます。私の記憶が正しければ、学校の夏休み(東京)玉川学園大学スクーリングに通われていたと思います?夏休み明けの授業で、東京土産話しに、東京の電車は、プシューと音を立ててドアーの開閉をする・・・とお話ししてくれました。その時代の深名線はSLで、手動のドアーでしたので、別世界の話と聞いていました!
もう一つ、カレーライスはご飯とカレーが別々に出てきて、こんな器が使われていたと、黒板に絵を描いて説明して下さいました。
isao-doh
2013年02月14日 20:15
真嶋先生のご長男、光(コウ)さん、仙台近くの岩沼市で、岩沼泌尿器科クリニック(皮膚科・泌尿器科)を開業されています。

この記事へのトラックバック